【2024年版】相続税を納めたら取得費加算の特例が使える?概要や併用できる税制を解説

2024-01-25

相続税を納めたら取得費加算の特例が使える?概要や併用できる税制を解説

この記事のハイライト
●取得費加算の特例とは、相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算できる制度
●生前贈与された財産や夫婦間の相続、譲渡所得以外の申告の場合は適用できないことがある
●マイホーム売却時の3,000万円特別控除やマイホームの買換え特例と併用可能

不動産を相続したときは、相続財産の額に応じて相続税の申告が必要です。
相続税を納めた方は相続した不動産を売却したときに、譲渡所得税を節税できる「相続税の取得費加算の特例」が適用できる可能性があります。
この記事では、名古屋市天白区、緑区、南区で不動産を相続予定の方に向けて、取得費加算の特例とは何か、適用できないケースや併用できる税制を解説します。

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相続税申告後に利用できる取得費加算の特例とは?

相続税申告後に利用できる取得費加算の特例とは?

取得費加算の特例とは、納めた相続税の一部を取得費に加算することで譲渡所得税を軽減できる税制度のことです。
相続した不動産を売却するときは、取得費加算の特例を利用することで、売却利益にかかる所得税や住民税を軽減できます。

取得費加算の特例に関わる相続税の概要

取得費加算の特例は、相続税を納めた方に関係する特例です。
そのため、まずは相続税について理解する必要があります。
相続税は、相続した財産が基礎控除額を超える場合に、その超える部分に対して課される税金です。
相続税の基礎控除額の計算式は、以下のとおりです。
3,000万円+600万円×法定相続人数
不動産を含めた遺産総額が基礎控除額を下回る場合は相続税が非課税となるため、取得費加算の特例も利用できないことになります。

取得費加算の特例の要件とは?

取得費加算の特例を利用するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 相続や遺贈により財産を取得した者である
  • 相続財産を取得したときに相続税を納めた
  • 相続開始日の翌日~相続税申告期限の翌日以後3年以内に売却

取得費加算の特例を利用できるのは、相続人や遺言によって財産を譲り受けた者に限られます。
また、前述のとおり相続税を申告期限内に納めた者が対象です。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったのを知った日の翌日から10か月以内です。
そのため、不動産の譲渡所得税の確定申告時に取得費加算の特例を利用するには、相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却する必要があります。

取得費加算の特例の計算式とは?

譲渡所得税の取得費に加算できる相続税額の計算式は、以下のとおりです。
相続税額×不動産の課税価格/(相続した全体の課税価格+債務控除)
上記計算式で算出された相続税額は、譲渡所得(相続財産の売却利益)の計算時に取得費に加算できます。
譲渡所得の計算式は、以下のとおりです。
譲渡価格-(取得費+譲渡費用)
たとえば、不動産の売却価格が4,000万円、取得費と譲渡費用が600万円、取得費に加算できる相続税額が2,000万円だった場合は、以下のようになります。
4,000万円-(600万円+2,000万円+600万円)=800万円
上記のケースだと課税される譲渡所得は800万円となり、取得費加算前と比較すると課税対象額をかなり節税できることがわかりますね。

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相続税申告後でも取得費加算の特例が利用できない例

相続税申告後でも取得費加算の特例が利用できない例

取得費加算の特例が利用できないケースは、以下の3つです。

①贈与された財産の場合

生前贈与された不動産は、相続後に売却しても取得費加算の特例が適用されません。
取得費加算の特例は、相続や遺贈で譲り受けた財産が対象となるからです。
しかし、贈与された財産が相続時精算課税制度や3年以内加算のルールによって、相続税の対象となっている場合は、例外的に取得費加算の特例を利用できます。
相続時精算課税制度とは「生前贈与で譲り受けた財産は2,500万円までは贈与税を非課税とするが、相続発生時に非課税となった財産にも相続税を課す」制度です。
3年以内加算のルールでは、贈与を受けてから3年以内の財産にも相続税が課されます。
なお、令和5年度税制改正により、3年以内の加算ルールは3年から7年に延長されることになりました。

②夫婦間の相続の場合

夫婦間で相続が発生した場合は、取得費加算の特例が利用できないケースがあります。
それは、夫婦間の相続の場合は相続税について配偶者の税額軽減が利用でき、相続税がかからないケースがあるからです。
配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により取得した遺産額について、一定の金額までは相続税が非課税となる制度のことです。
一定の金額とは、次の金額の内どちらか多い金額になります。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

相続財産の総額が上記のいずれかの金額に満たない場合は、配偶者の相続税は非課税となるため、取得費加算の特例も適用外となります。

③譲渡所得以外で申告した場合

相続した財産を売却したときに事業所得や雑所得など、譲渡所得以外で申告した場合は、取得費加算の特例は利用できないです。
取得費加算の特例はあくまでも、譲渡所得を計算するときの取得費に相続税の一部を加算する制度だからです。
不動産の売却は基本的に譲渡所得で申告しますが、不動産所得が生じる個人事業主などが、棚卸資産に準ずる土地や建物を売却したときは雑所得となります。

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相続税申告後に取得費加算の特例と併用できる税制

相続税申告後に取得費加算の特例と併用できる税制

取得費加算の特例と併用できる税制は、以下の3つです。

①自己の居住用財産を売却した場合の3,000万円特別控除

マイホームを売却した際は、特例で譲渡所得から3,000万円まで特別控除できます。
たとえば、譲渡所得が4,000万円だった場合、特例を利用すると4,000万円から3,000万円を差し引くことができ、課税対象の譲渡所得を軽減できます。
この3,000万円特別控除は、取得費加算の特例と併用することが可能です。
ただし、相続した空き家を売却した場合は、3,000万円特別控除の特例と取得費加算の特例の併用はできないためご注意ください。

②自己の居住用財産の買換えにかかる特例

マイホームを売却して新居を購入したときは買換え特例により、一定の要件のもと売却利益に対する課税を将来に繰り延べることが可能です。
たとえば、マイホームを4,500万円で売却し5,000万円の新居を購入した場合、4,500万円で売却したときに発生した売却利益は、新居を売却するときにまとめて課税されます。
このマイホームの買換えにかかる特例は、取得費加算の特例とも併用可能です。
ただし、2023年12月31日までに売却したマイホームが対象となるため、ご注意ください。

③小規模宅地等の特例

たとえば、被相続人が住んでいた自宅を配偶者が相続した場合は、330㎡までの面積について土地の評価額が80%減額されます。
土地の評価額が減額されると課される相続税も減額になるため、相続税の節税となる特例です。
この小規模宅地等の特例は取得費加算の特例と併用可能ですが、併用するにはいくつかの細かい条件があるため、ご注意ください。
適用条件については、国税庁ホームページで確認することができます。

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まとめ

相続税を納税後は、取得費加算の特例を利用することで、相続した不動産にかかる譲渡所得税を節税できます。
ただし、生前贈与された財産や夫婦間の相続、譲渡所得以外で申告した場合は適用外となるケースもあるため、ご注意ください。
取得費加算の特例は、小規模宅地等の特例やマイホームを売却時の3,000万円特別控除と併用できます。
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