【2024年版】相続時精算課税制度とは?制度の概要や注意点を解説

2024-01-23

相続時精算課税制度とは?制度の概要や注意点を解説

この記事のハイライト
●相続時精算課税制度とは支払う税金が免除になるわけでなく税金の先送りができる制度
●相続財産の金額が基礎控除以下なら相続税は非課税となる
●節税効果が基本的にないことや暦年課税制度が利用できなくなるなどの注意点も生じる

贈与税の負担を軽減させるために有効的なのが、相続時精算課税制度の利用です。
有効的な税金対策として取り上げられることも多いですが、いくつかの注意点も生じます。
では、相続時精算課税制度とはどのような制度なのでしょうか。
今回は相続時精算課税制度とはなにか、計算方法や注意点とともに解説します。
名古屋市天白区、緑区、南区を中心に、相続をご検討中の方や、相続される方はぜひ参考になさってください。

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相続時精算課税制度とはどのような制度?

相続時精算課税制度とはどのような制度?

まずは、相続時精算課税制度とは、どのような制度なのかを解説します。

どんな特徴を持った制度?

相続時精算課税制度とは、生前贈与の際、2,500万円までは贈与税がかからない制度です。
60歳以上の父母や祖父母から、成人した子どもや孫が贈与を受けた場合、2,500万円までなら贈与税は非課税となります。
もし2,500万円を超えた場合は、超えた部分に対する20%の贈与税が課税されます。
その一方、贈与した側が亡くなり相続が発生した際は、生前贈与した財産と、相続財産を合計した金額に対して相続税が課税されます。
つまり「贈与税を課税しない分、相続時は過去に贈与した財産を含めて相続税を支払ってください」ということです。
そのため、相続時精算課税制度を使用した場合、相続税の負担が大きくなる可能性があります。
相続税の節税にはなりませんが、生前に多くの財産を子どもや孫に渡したい場合に、有効的な方法です。

相続時精算課税制度の事例とは?

たとえばAさんが、1億円の財産を持っていたとします。
そのうちの2,000万円を、子どもや孫に生前贈与する場合、相続時精算課税制度の利用によって贈与税は課税されません。
贈与後はAさんの手元に、1億円から2,000万円をマイナスした、8,000万円が残ります。
そのあと、Aさんが亡くなり相続が発生しました。
相続時は、手元にあった8,000万円にくわえて、過去に贈与した2,000万円を合算した1億円に対して相続税が課税されます。
相続時精算課税制度とは、支払う税金が免除になるわけでなく、税金の先送りができる制度です。

適用対象者とは?

適用対象者に該当するか否かは、下記を参考になさってください。

  • 財産を贈与した側:贈与した年の1月1日時点で、60歳以上の父母または祖父母
  • 贈与された側:財産を受け取った年の1月1日時点で、成人している子どもや孫(直系卑属)

財産を贈与した側のことを、贈与者と呼び、財産を受け取った側のことを受贈者と呼びます。
贈与された側の適用対象者は、推定相続人(今現在の状況において、法定相続人となる方のこと)も含まれるのがポイントです。
また、民法の改正により、令和4年(2022年)4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
そのため、受贈者の適用年齢も20歳以上から18歳以上となります。

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相続時精算課税制度における税金の計算方法とは?

相続時精算課税制度における税金の計算方法とは?

続いて、相続時精算課税制度における、税金の計算方法について解説します。

贈与税の計算方法とは?

贈与税の計算方法は、下記のとおりです。
贈与税=(贈与された財産の合計額-2,500万円)×20%
相続時精算課税制度を利用する場合、1年間に贈与を受けた財産の合計額から、贈与税額を計算します。
2,500万円以下なら、贈与税は非課税です。
控除額の2,500万円を差し引き、控除できなかった部分には、一律20%の税率をかけます。
その際にかかった贈与税は、相続の発生時、相続税から控除することが可能です。

相続税の基礎控除額の計算方法とは?

相続税には基礎控除額が設けられています。
そのため、まずは基礎控除額がいくらになるのかを計算する必要があります。
基礎控除額の計算方法は下記のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続人の数が多いほど、基礎控除額が増えることになります。
たとえば、法定相続人が3人(妻と子ども2人)だった場合、計算方法は下記のとおりです。
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
法定相続人が3人で相続財産が4,800万円より少ない場合、基礎控除額以下となるため相続税は非課税です。

基礎控除額を超える場合の計算方法とは?

基礎控除額を超える場合、課税対象となるすべての財産を法定相続分で取得したケースでは、計算方法は下記のようになります。

  • 課税遺産総額に対して相続税率をかけ、それぞれの相続税額を計算する
  • 相続税額を合計し相続税の総額を計算する
  • 相続税の総額から、財産の取得分に応じた割合で相続税を負担する

相続税率は、法定相続分における財産の取得金額によって異なります。
取得した財産が1,000万円以下の場合は10%、3,000万円以下の場合は15%、5,000万円以下の場合は20%です。

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相続時精算課税制度の注意点とは?

相続時精算課税制度の注意点とは?

最後に、相続時精算課税制度の注意点について解説します。

注意点1:必ずしも節税になるわけではない

注意点としてまず挙げられるのが、必ずしも節税になるわけではないことです。
先述したとおり、相続時精算課税制度とは、支払う税金が免除になるわけでなく、税金の先送りができる制度となります。
生前贈与の際は税金の負担が軽減される一方、相続時には過去に贈与した財産を含めて、相続税が課税されます。
そのため、節税を目的とした利用には向かないことが注意点です。
ただし、相続時は贈与時の価値を引き継ぐことになるため、価値が減少する財産を贈与した場合は節税になるケースもあります。

注意点2:物納はできない

相続税の物納ができないことも、注意点のひとつです。
相続税は、原則現金一括払いとなりますが、支払いが難しい場合は取得した財産(不動産など)で納税することができます。
しかし、相続時精算課税制度を利用した場合、その財産は物納に利用できません。
生前贈与で取得した財産より相続税のほうが高く、納税が困難になるケースも多いです。
そのため、2,500万円までは非課税となる点だけに着目せず、相続税のことについても理解を深めておく必要があります。

注意点3:暦年課税制度が利用できなくなる

注意点として、暦年課税制度が利用できなくなることも挙げられます。
暦年課税制度とは、1月1日~12月31日までに取得した贈与額から、110万円を差し引いて税額を計算する制度です。
そのため、年間110万円までの贈与なら、贈与税が非課税となります。
毎年少しずつ贈与すれば、子どもや孫に税金の負担をかけず、財産を取得させられるのがメリットです。
しかし、相続時精算課税制度を一度選択すると、暦年課税制度は使えなくなります。
最初に決めた、贈与者と受贈者のあいだで生じる財産のやり取りは、すべて相続時精算課税制度の対象です。
暦年課税制度を利用したくても、利用できなくなるため注意なさってください。

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まとめ

相続時精算課税制度とは、贈与時は2,500万円までが非課税となるぶん、相続時には贈与した財産を精算して相続税を支払う制度です。
税金を先送りにする制度のため、相続税の負担がない方に適しています。
注意点も踏まえて、相続時精算課税制度を利用するか否かを判断しましょう。
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