2024-01-21
親が認知症になった場合「不動産は売却できるの…?」そのようにお悩みになる方も少なくありません。
判断能力が不十分な方の土地や建物は、成年後見人によって売却することが可能です。
今回は成年後見人とはどのような制度なのか、手続きや不動産の売却方法を解説します。
名古屋市天白区、緑区、南区を中心に、不動産の売却を検討している方はぜひ参考になさってください。
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まずは、不動産売却における成年後見人とはなにかを解説します。
成年後見人とは、認知症などで判断能力が不十分になった方を、支援する方のことです。
成年後見制度と呼ばれるもので、国が定めています。
日々生活するうえで、私たちは法律行為が必要な場面に多く出くわします。
たとえば、ものの売買や金銭の貸し借り、賃貸借契約の締結や不動産売却などです。
そのような法律行為を、判断能力が乏しい方がおこなった場合、騙されたり不利益を受けたりする恐れがあります。
そのため、詐欺などから本人を保護しなくてはなりません。
成年後見制度とは、法律行為を代行する方を選び、本人をサポートする制度のことです。
主なサポート内容として、下記が挙げられます。
成年後見人は本人を保護するために、さまざまな活動をおこないます。
また、成年後見制度には2つの種類があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
任意後見制度とは、委任者(本人)と受任者(候補者)が、内容を自由に決めて結ぶ契約です。
本人に判断能力があるうちに、生活のなかで生じる法律行為や財産の管理など、受任者にどのような権利を与えるか話し合っておきます。
そして、将来認知症などを患った際は、あらかじめ選任しておいた方に支援を依頼するというものです。
任意後見制度では、公正証書にて契約を締結します。
公正証書とは、公正役場で作成する書類のことです。
高い証明力があるうえ紛失の心配もないため、重要な書類を作成する際は公正証書が用いられます。
また、任意後見制度では、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、万が一不正があった際は成年後見人を解任できます。
任意後見監督人とは社会福祉士や弁護士など、専門家が選ばれるのが一般的です。
法定後見制度とは、本人の判断能力が低下したあとに、成年後見人を家庭裁判所が選任することです。
申立てによって選任された方が、本人の財産や生活をサポートします。
また、法定後見制度は本人の自立レベルによって、下記の3種類にわけられます。
日常生活に支障がある場合、成年後見人となるケースが多いです。
成年後見人は、あらゆる法律行為の代理権が与えられることになります。
ただし、不動産売却などは、家庭裁判所の許可が必要になるのが一般的です。
症状が軽いものの、財産の管理に不安がある場合は、保佐人が選任されます。
補助人とは、判断能力が不十分だが、意思疎通が取れる場合に選ばれることが多いです。
本人の自主性を尊重しながら、生活をサポートします。
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続いて、不動産売却における成年後見人の申立ての手続きと、必要書類を解説します。
名古屋市天白区、緑区、南区など、本人の所在地を管轄する家庭裁判所に、成年後見人の選任を申立てます。
申請できる方は、本人と本人からみた配偶者、4親等内の親族(父母・祖父母・子・孫・ひ孫・玄孫・兄弟姉妹・いとこ・叔父・叔母・甥・姪)、市区町村長です。
法律で決められた方以外は、申請できません。
申請後、成年後見人の選任を認めるか否かを、家庭裁判所が審理します。
候補者との面談や、親族の意向などを経て決まるのが一般的です。
必要に応じて、本人の判断能力の程度を医師に鑑定してもらうこともあります。
審理のうえ、成年後見人が決定します。
選任の確定とともに、成年後見の登記がおこなわれれば、不動産売却に進むことが可能です。
申立てから選任されるまでには、一般的に2か月~3か月ほどかかります。
成年後見人の申立て後は、家庭裁判所の許可がないと取り下げることができません。
また、必ずしも候補者が選ばれるわけではなく、親族以外の専門家が選任されることもあります。
候補者が選ばれなくても取り下げができないため、手続きは慎重におこなうべきと言えます。
申請に必要な書類は、下記のとおりです。
申立て書・申立て事情説明書・戸籍謄本・住民票・診断書・親族関係図・本人の財産目録・本人の収支予定表・成年後見登記がおこなわれていないことを証明する書類
戸籍謄本と住民票は、本人と後見人の分が必要です。
本人の財産目録とは、不動産や預貯金、負債などを一覧にした書類です。
収支予定表は、本人の1年間の収入(年金や事業で得た収入など)と出費(家賃や税金など)を記載した書類となります。
成年後見登記がおこなわれていないことを証明する書類は、東京法務局から郵送で取り寄せるのが一般的です。
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最後に、成年後見人による不動産売却の方法を解説します。
成年後見人による不動産の売却方法は、通常の売却と少し異なります。
売却までの流れは下記のとおりです。
買主と売買契約を締結する際は、停止条件を付けて契約書を作成します。
家庭裁判所から売却の許可が下りなかった場合、契約が無効になる特約です。
居住用不動産、つまり本人が住まいとして利用している不動産は、家庭裁判所の許可がないと売却できません。
成年後見人が勝手に売却してしまうと、本人は住まいを失うことになるからです。
そのため、家庭裁判所の許可を得てから、引き渡しと決済をおこないます。
もし売却できたとしても、家庭裁判所からの許可がなければその契約は無効です。
非居住用不動産は、本人の住まいではないため、家庭裁判所の許可は不要です。
原則、成年後見人の判断で売却することができます。
ただし、後見監督人が選任されている場合は、同意が必要です。
また、非居住用不動産だからといって、成年後見人が土地や建物をなんでも自由に売却できるわけではありません。
売却する理由が明確でない場合、認められない可能性が高いです。
たとえば、本人の生活費を確保したり、施設への入居金を準備したりと言う目的なら、許可が下りる可能性が高いでしょう。
親族の生活費といった、本人以外のための売却は、正当な理由とならないので注意が必要です。
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成年後見人は、判断能力が不十分になった親の不動産を売却する権利を持ちます。
ただし、居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。
非居住用不動産であっても、正当な理由がないと売却できないため注意なさってください。
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