【2024年版】相続における「遺留分侵害額請求」とは?概要や請求方法について解説

2024-01-09

相続における「遺留分侵害額請求」とは?概要や請求方法について解説

この記事のハイライト
●遺留分侵害額請求とは「遺留分」を侵害された相続人が、遺留分相当額の金銭を請求すること
●遺留分侵害額請求は2019年7月1日以降に発生した相続が対象
●遺留分侵害額請求の話し合いがまとまらない場合は訴訟に発展する

被相続人による生前贈与や遺言によって、法定相続人が本来受け取れる財産を相続できないケースがあります。
そのような場合は、「遺留分侵害額請求」という制度を利用して財産を受け取ることが可能です。
今回は、遺留分侵害額請求とはなにか、遺留分減殺請求権との違いと遺留分侵害額請求の方法について解説します。
名古屋市天白区や緑区、南区を中心としたエリアで相続を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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相続における「遺留分侵害額請求」とは?

相続における「遺留分侵害額請求」とは?

民法では、法定相続人の範囲と相続の割合が定められています。
しかし、被相続人の意思で生前贈与をおこなったり、遺言で相続人を指定したりすることも可能です。
たとえば、以下のようなケースが挙げられます。

  • 生前に特定の相続人に現金を贈与していた
  • ほかに財産がないのに実家が長男名義になっていた
  • 「長男にすべての遺産を相続させる」と遺言書に記載されていた

このようなことが起こると、配偶者や法定相続人が生活できなくなる恐れがあります。
そこで民法では、「遺留分」を保障するために、「遺留分侵害額請求権」を認めています。

遺留分とは

遺留分とは、一定の法定相続人が、被相続人の財産から最低限取得できる割合のことです。
遺留分は、民法で定められているため、遺言や遺贈などによって奪うことはできません。
したがって、一定の相続人は、「この割合だけは財産を受け取れるはずだ」と主張できるのです。

遺留分を侵害された場合は請求ができる

遺留分が定められているとはいえ、財産を相続できなかったり、割合が偏っていたりなどで、遺留分に相当する財産を相続できないケースもあります。
その場合は、生前贈与や遺贈を受けた方に対して、遺留分に相当する金銭を請求することが可能です。
これを「遺留分侵害額請求」といいます。
遺留分侵害額請求ができるのは、以下の法定相続人です。

  • 配偶者
  • 子、孫、ひ孫
  • 親、祖父母、曾祖父母など

遺留分侵害額請求が認められるのは、兄弟姉妹以外の相続人と、その権利を承継する方です。
したがって、兄弟姉妹やその子が法定相続人になったとしても、その方の遺留分はありません。

遺留分侵害額請求権の時効に注意

遺留分侵害額請求権には時効があります。
遺留分侵害額請求の時効は、「相続が開始したこと」および「遺留分が侵害されていること」を知ったときから1年です。
これを過ぎると、侵害された遺留分を請求する権利が消滅するため注意が必要です。

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相続における「遺留分侵害額請求」と「遺留分減殺請求」の違い

相続における「遺留分侵害額請求」と「遺留分減殺請求」の違い

遺留分侵害額請求の概要や請求できる方について前章で解説しましたが、「遺留分減殺請求」とは違うの?と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。
実は「遺留分侵害額請求」は、2019年7月1日の民法改正時に新しく導入された制度です。
それ以前は、「遺留分減殺請求」という制度でした。
まとめると、法定相続人の遺留分請求の適用は、以下のように相続が発生した時期で区別されます。
2019年6月30日以前…遺留分減殺請求
2019年7月1日以降…遺留分侵害額請求
侵害された遺留分の請求については、民法改正により、上記のように制度の名称と内容が変更されています。
改正後の違いは、以下の3つです。

  • 清算は金銭のみでおこなう
  • 支払期限の猶予を求められる
  • 相続開始前の10年間におこなわれた生前贈与が対象

それぞれの違いについて解説します。

清算は金銭のみでおこなう

遺留分減殺請求では、請求の対象は財産そのものであり、現金だけでなく不動産や有価証券なども含まれていました。
たとえば不動産の場合、その所有権を請求者に返還することが可能だったのです。
しかし、現行の遺留分侵害額請求では、清算は現金のみとしています。
つまり不動産であれば、売却して現金化したのち、遺留分相当額を支払わなければなりません。

支払期限の猶予を求められる

生前贈与や遺贈を受けた方が、法定相続人から遺留分侵害額請求をされた場合、すぐに支払えないケースも少なくありません。
その場合は、裁判所に支払期限の猶予を求めることができます。

相続開始前の10年間におこなわれた生前贈与が対象

一口に生前贈与といっても、一度にまとめて多額のお金を贈与するケースと、少しずつ何回かに分けて贈与するケースがあります。
遺留分減殺請求では期間に制限を設けず、相続開始より何十年も前におこなわれた生前贈与まで、遺留分として計算されていました。
一方で、現行の遺留分侵害額請求では、請求できるのは「10年以内」と期間を設けています。
つまり、遺留分侵害額の計算の対象とするのは、相続開始からさかのぼって10年間に贈与したものに限定されることになったのです。

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相続における「遺留分侵害額請求」の請求方法

相続における「遺留分侵害額請求」の請求方法

では実際に遺留分侵害額請求をおこなう場合、どのように手続きを進めると良いのでしょうか?
最後に、遺留分侵害額請求の方法について解説します。
遺留分侵害額請求は、以下のような流れで進めるのが一般的です。

  • 相続人が集まって話し合う
  • 内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送る
  • 遺留分侵害額の請求調停を申し立てる
  • 訴訟を起こす

それぞれのポイントについて解説します。

相続人が集まって話し合う

相続は親族間でのトラブルが起こりやすいため、まずは相続人が集まって話し合うことが、スムーズに手続きをするための第一歩です。
相続人同士で遺留分侵害額について話し合い、合意を得られたら、その内容を記した合意書を作成し、話し合って決めたとおりに支払い手続きをおこないます。

内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送る

話し合いがうまくまとまらない場合は、遺留分侵害額請求書を送ります。
このとき、遺留分侵害額請求権の時効を止めるために、「内容証明郵便」で送付することが大切なポイントです。

遺留分侵害額の請求調停を申し立てる

内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送っても対応してもらえない場合や、合意を得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。
調停とは、当事者同士だけでは解決が望めない場合に、裁判官と調停委員などがあいだに入り、紛争解決の手助けをしてくれる制度です。
裁判所の仲介によって合意を得られれば、調停が成立し、その内容に沿って支払い手続きがおこなわれます。

訴訟を起こす

調停で話し合いをおこなっても合意を得られない場合は、訴訟を起こし、遺留分侵害に対する請求額を争うことになります。
訴訟になると、裁判所が中立的な立場から、遺留分侵害額請求をする権利を有しているのか、請求額は適切かなど、あらゆることを審理して判決を下します。
このように、相続について話がこじれた場合、解決するのが難しくなりかねません。
したがって、相続人同士で話し合いがまとまらない場合は、早めに弁護士に相談してアドバイスを得ながら進めることをおすすめします。

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まとめ

遺留分侵害額請求とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が相続財産から最低限取得できる「遺留分」を侵害された場合に、遺留分相当額の金銭を請求できる制度です。
民法改正前は、財産そのものの返還が可能でしたが、新制度では金銭のみの支払いに限られるため、不動産の場合は売却して現金化する必要があります。
相続時に揉めるケースも少なくありませんが、相続人間の話し合いを円満に進めることを心がけ、スムーズな手続きを目指しましょう。
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