2024-03-26
これまで不動産の相続登記は任意でしたが、2024年4月1日から義務化されることになりました。
そこで今回は、不動産の相続登記が義務化される背景や内容と罰則、相続したくない土地がある場合の手続きについて解説します。
名古屋市天白区、緑区、南区を中心に不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
\お気軽にご相談ください!/
不動産の相続登記とは、亡くなった方が持っていた不動産を遺族や相続人が自分名義に変更する手続きのことです。
普段、不動産の持ち主は法務局が管理する登記簿に名前が記されています。
不動産を相続する場合は、名義を変更するために法務局で「所有権変更」の申請が必要です。
たとえば、父が亡くなり、長男が家や土地を引き継ぐ場合、長男はその不動産がある地域の法務局で、父の名義から自分の名義に変更するための相続登記をしなければなりません。
以前は、亡くなった方の不動産を相続しても、その登記をするかどうかは自由でした。
その結果、所有者不明の土地が増え、持ち主を知りたくても連絡が取れないことが多くなりました。
所有者不明の不動産が増えると、以下のような点が問題になります。
そこで、2024年4月1日から、亡くなった方の不動産を相続したら、名義変更の登記をすることが義務になったのです。
所有者が不明な土地の問題を解決するために法律が改正され、以下の3つの大きな対策を打ち出しました。
所有者不明の土地で大きな問題となるのが、メガ共有地です。
メガ共有地とは、何代にもわたる相続により、多くの方が共有者となった土地のことです。
相続登記がおこなわれずに放置されたり、相続登記はされていないけれど、その土地に住み続けたり、農業で利益を得たりしているケースもあります。
メガ共有地が放置されると以下のような社会問題が起こり得ます。
これまで、共有物を変更するには共有者全員の同意が必要であり、変更行為と管理行為の区別も曖昧でした。
そこで政府は、上記の法改正により、これらの問題に対処し、より実用的な解決策を提供することを目指しています。
▼この記事も読まれています
【2023年度版】相続放棄の手続きは自分でできる?手続きの流れや必要書類などを解説!
\お気軽にご相談ください!/
義務化される不動産の相続登記の内容は、以下のとおりです。
2024年4月1日から、相続した不動産の名義変更登記が法律により義務付けられます。
これまでは相続人の自由だった相続登記が、この日から必須となります。
相続登記の申請は、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記を完了させなければなりません。
「不動産を相続したことを知ったとき」とは、相続が発生したこと、そしてその相続財産に不動産が含まれていることを知った日を指します。
相続人としての自覚があっても、相続する不動産の存在を知らなければ登記の義務は発生しません。
この期間内に相続登記をおこなわないと、10万円以下の罰金(過料)が課されることになります。
また、相続登記の義務化は、施行日以前に相続が発生した不動産にも適用されます。
つまり、以前に相続した不動産でも、2024年4月1日以降はこの規則にしたがって相続登記が必要です。
相続登記の義務化にともない、「相続人申告登記」と呼ばれる、手軽に登記手続きができる新しい制度が導入されました。
相続人申告登記の制度では、相続があったことと自分が相続人であることを登記官に申し出るだけで、相続登記をしたとみなされます。
申し出た内容は、登記簿に記載されます。
ただし「相続人申告登記」は、相続登記とは異なり、あくまで相続があったことと相続人であることを報告するためのものです。
そのため、たとえば実際に不動産を相続する際に、遺産分割の協議を経て不動産を手に入れた場合には、その遺産分割がおこなわれた日から3年以内に、通常の所有権移転の登記が必要です。
相続登記の義務化にともなって、不動産の所有者が氏名や住所を変更した際、その情報を登記簿に更新することも義務付けられました。
相続登記を義務化するのと同じ流れで、所有権の登記情報に変更があった場合にも適用されます。
具体的には、所有者の名前や住所、法人の場合は名称に変更があった時、その変更日から2年以内に登記の更新が必要です。
義務の開始は令和8年(2026年)4月1日からと決定していますが、詳細な期限などは今後の政令で定められる予定です。
義務を怠り、正当な理由なく期限内に登記を更新しなかった場合、5万円以下の罰金(過料)が課されることになるためご注意ください。
▼この記事も読まれています
【2023年度版】相続における代償分割とは?メリットとデメリットも解説
\お気軽にご相談ください!/
相続したくない土地については、土地所有権放棄によって所有権を国に渡すことができる新しい制度「相続土地国庫帰属制度」が設けられました。
この制度は、特定の条件を満たした場合に限り、自分の土地を国庫に帰属させることができるというものです。
遺産には売れない土地や使い道のない土地が含まれることがあります。
こうした土地を相続すると、所有権を手放せず、代々固定資産税を支払い続ける羽目になりかねません。
現行法下では、遺産を選択的に相続放棄することはできません。
つまり、相続したくない土地があってもそのほかの財産を相続したい場合は、その土地を放棄することなくすべてを相続する必要があります。
しかし、法律が改正されると、相続したくない土地のみを放棄する選択が可能になります。
ただし、この制度は例外的なものであり、原則としては適用されません。
土地を国庫に帰属させるには、法務大臣の承認が必要です。
共有している土地の場合は全共有者の同意も必要です。
承認される土地は、たとえば建物がない更地や、余計な権利(担保権など)がなく、土壌汚染がない、境界が明確な土地など、国が利用するうえで問題とならない土地に限られます。
制度を利用するための手続きの流れは、以下のとおりです。
もし土地が共有されている場合は、全共有者が一緒に申請する必要があります。
審査の際は、国有財産を管理する部署の協力を求めることも可能です。
承認後は、申請者が審査手数料や10年分の土地管理費相当額の負担金を支払います。
たとえば、原野なら約20万円、200㎡ほどの市街地の宅地なら約80万円が目安です。
▼この記事も読まれています
相続における「遺留分侵害額請求」とは?概要や請求方法について解説
不動産の相続登記が義務化された背景には、所有者不明の土地問題があります。
相続登記の申請義務化にともなって、相続人申告登記の創設や登記名義人の氏名・住所変更の登記も義務付けられました。
相続したくない土地は、一定の要件を満たせば、所有権を放棄して国庫に帰属させることも可能です。
名古屋市の不動産売却なら名古屋市不動産売却相談所へ。
主に天白区・緑区・南区の地域を得意とし、買取もおこなっております。
お客様に寄り添ったご提案をいたしますのでお気軽にお問い合わせください。