【2024年版】相続税対策になる小規模宅地等の特例とは?適用要件と注意点を解説

2024-07-09

相続税対策になる小規模宅地等の特例とは?適用要件と注意点を解説

この記事のハイライト
●小規模宅地等の特例とは小規模な住宅用地を相続する際に相続税評価額を減額できる制度のこと
●対象となる宅地等によって限度面積や減額率が変わるほか相続人別に適用要件がある
●注意点は相続税申告が必要な点・二世帯住宅の場合は同居の状況・遺産分割協議の3つ

不動産を所有している方は、相続する際に相続税が相続人の負担にならないか心配ですよね。
そこで本記事では、相続税対策になる「小規模宅地等の特例」とはなにか、適用要件や特例を受ける際の注意点について解説します。
名古屋市天白区、緑区、南区を中心に不動産を相続予定の方は、ぜひ参考になさってください。

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相続税対策となる「小規模宅地等の特例」とは?

相続税対策となる「小規模宅地等の特例」とは?

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす小規模な住宅用地を相続する際に、土地の相続税評価額を減額できる制度です。
この特例を活用すると、評価額の最大80%を減額することが可能となり、相続税の大幅な節税が見込めます。
たとえば、評価額が1億円の土地であれば、特例の適用後はわずか2,000万円にまで減少します。
なお、相続開始前の3年以内の贈与により取得した宅地等や、相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、適用を受けることはできないためご注意ください。

小規模宅地等の特例が設けられた背景

特例が設けられた背景には、高度経済成長期の地価高騰があります。
地価の急上昇により、多くの方々が相続税の支払いに困り、土地を売却せざるを得なくなるケースが増えました。
とくに、故人と同居していた家族は、土地だけでなく住居も失うことがあり、さらに土地が事業用途で使われていた場合、相続人は生計を立てる手段までもを失うリスクに直面していました。
これらの困難を軽減するために、土地を売却せずとも済む水準まで相続税を引き下げ、相続人の生活を守ることを目的として、小規模宅地等の特例が導入されたのです。

小規模宅地等の特例のメリット

小規模宅地等の特例の最大の利点は、相続により取得した住宅用地に関する相続税が大幅に軽減されることです。
特例では、法定相続人だけでなく、遺言によって土地を継承する方々にも適用されます。
特例が適用された場合、土地の市場価格が変動しない状況でも、相続税評価額が大きく下がる可能性があります。
相続税評価額が下がると、課される相続税も抑えることができるため、相続人にとって大きなメリットでしょう。

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相続税対策になる小規模宅地等の特例の適用要件とは?

相続税対策になる小規模宅地等の特例の適用要件とは?

では、小規模宅地等の特例の適用要件とは、具体的にどのようなものでしょうか。

対象となる宅地等

対象となる宅地等は以下の4つのカテゴリに分類されます。

  • 特定居住用宅地等:自己居住用として使用していた宅地など
  • 特定事業用宅地等:個人事業の用途で使用していた宅地(貸付用を除く)
  • 貸付事業用宅地等:貸付用途(貸地や貸家など)で使用されていた宅地など
  • 特定同族会社事業用宅地等:同族会社が事業用として使用していた宅地など

この特例の適用には面積に応じた制限と減額割合が設けられています。
具体的には以下のとおりです。

  • 特定居住用宅地等:最大330㎡までが対象で、80%の減額
  • 特定事業用宅地等および特定同族会社事業用宅地等:最大400㎡までが対象で、80%の減額
  • 貸付事業用宅地等:最大200㎡までが対象で、減額は50%

上記の要件を満たす場合に限り、相続する土地に対して小規模宅地等の特例を適用することができ、相続税の軽減が期待できます。

相続人別の適用要件

小規模宅地等の特例は、相続人の続柄に応じて適用要件が異なります。
被相続人の配偶者は、特例の適用を無条件で受けることが可能です。
他の相続人とは異なり、たとえ相続税の申告期限前に不動産を売却しても、特例の適用が可能です。
同居親族の場合は、同じ住所に住民票が登録されていること、実際に同居していたことが要件となります。
同居親族とは、相続発生時に被相続人と同居していた親族のことです。
同居期間に特定の定めはありませんが、相続税の申告期限(相続発生から10か月後)まで同居していた宅地に住み続けていることが要件です。
たとえば、被相続人の死亡直前に同居を始め、その後すぐに元の住まいに戻った場合は、この要件を満たしていないとされます。
別居親族が特例を利用する場合は「家なき子特例」として知られる以下の厳格な要件を満たす必要があります。

  • 被相続人に配偶者または同居する親族がいない
  • 相続開始前3年以内に、親族やその配偶者、3親等内の親族、同族会社等が所有する家屋に住んだことがない
  • 相続税の申告期限まで相続した宅地等を所有していること

この特例の適用は、相続人自身だけでなく、その配偶者にも自己の住居がない場合に限られます。
また、平成30年の改正で、特別な関係のある親族や同族会社等が所有する家屋に住んだことがないことも必要条件に加わりました。
関係会社名義や親族名義で購入した家屋に居住している場合は、特例の適用を受けることはできません。
これらの要件を理解し、適切に適用すると、相続税の負担を軽減することが期待できます。
なお、相続した不動産を売却する際には、タイミングが重要です。
とくに小規模宅地等の特例を適用する場合、配偶者以外の相続人は相続税の申告期限までの所有が適用要件となります。
配偶者以外の相続人である場合、特例を利用するためには、この期限を過ぎてから不動産を売却しましょう。

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相続税対策として小規模宅地等の特例を利用する際の注意点

相続税対策として小規模宅地等の特例を利用する際の注意点

小規模宅地等の特例を利用する場合、注意すべき点があります。

注意点①相続税申告の必要性

通常、相続財産が基礎控除額を下回る場合、相続税の申告は必要ありません。
基礎控除額の計算式は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。
たとえば、法定相続人が2人の場合、4,200万円までなら相続税の申告は不要です。
しかし、小規模宅地等の特例を適用するためには、基礎控除額にかかわらず相続税を申告する必要があります。
もし結果的に納税額がゼロであっても、特例を受けるためには申告が必要です。

注意点②二世帯住宅の場合

二世帯住宅では、建物がどのように登記されているかによって、同居しているかどうかが判断されます。
建物が区分所有登記である場合、法的には被相続人と別に暮らしていると見なされます。
そのため、建物が物理的に独立しているかどうかに関わらず、登記の状態が重要です。
区分所有登記されている場合でも、特定の条件下で小規模宅地等の特例が適用されることがあります。
たとえば、建物の1階部分とその土地を被相続人(親)が所有し、2階部分を相続人(子)が所有している状況を考えます。
ここで、1階と2階がそれぞれ区分所有登記されている場合、通常は特例の適用はされません。
しかし、2階部分が親によって居住用途で使用されていた場合、子が同居家族として該当する可能性があります。
たとえば、2階にのみキッチンが設置されており、親子がそれを共有していた場合、この2階部分が親の居住用として扱われ、特例の適用が認められる可能性があります。

注意点③遺産分割がなされていない

小規模宅地等の特例を適用するためには、遺産分割が完了していることが必要です。
遺産分割の完了とは、どの相続人がどの財産を受け継ぐのかが明確に決定されている状態を意味します。
遺産分割が未完了の場合、残念ながら小規模宅地等の特例を利用することはできません。
もし相続トラブルで遺産分割協議が難航している場合は、特例の適用を受けずに先に相続税を納付することになります。
申告期限から3年以内に遺産分割協議が合意に達した場合、過払いの相続税について還付請求が可能です。

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まとめ

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす小規模な住宅用地を相続する際に、土地の相続税評価額を減額できる税制上の特例のことです。
対象となる宅地等によって限度面積や減額率が変わり、相続人別に適用要件があります。
注意点は、相続税申告が必要な点、二世帯住宅の場合は同居の状況、遺産分割が完了しているかどうかです。
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